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母乳のこと、ちょっと(3)
母乳の分泌をよくするためのコツをお話したいのですが、その前に。。。
ある調査によると、出産前に母乳で育てたいと望む人は8割以上ですが、実際母乳育児をしているのは3割程度と言われています。7割の方の中には。。。
1.母乳で育てたかったけど、母乳が足りなくてできなかった。
2,母乳で育てたかったけど、仕事復帰したくて保育園に預けるから。
3,母乳で育てたかったけど、夫と一緒に育児したいからミルクも飲んでほしい。
4,母乳で育てたかったけど、もともとの個性(乳腺の発育不全、ホルモン不全など)や病気の治療のため断乳を余儀なくされた。
他にもさまざまな理由があり、全てが「母乳育児をあきらめた」わけではないと思います。
(混合栄養も立派な母乳育児です!)
今回は、混合であっても母乳の割合を増やしたい。
そして母乳の出が足りないからあきらめる人が一人でも少なくなるよう、母乳を出すために是非やってほしいことお伝えします。
方法としては単純明快です。
一つ目
出産後できるだけ早くおっぱいをくわえさせる。
自然分娩で母子ともに元気であれば、できれば1~2時間以内。
母乳を出して!というオーダーを出すのは、体が勝手にそうなるのではなく実はお母さん自身です。
そしてこのオーダー。受理されてからできあがるまで時間がかかるため、できるだけ早くオーダーする必要があります。そのスイッチとなるのが乳首への刺激なのです。
出産後、まだ分娩台にいるうちに赤ちゃんに授乳しようとすると、みなさん「まだ母乳でてないと思う」「今、授乳する意味あるの?」っておっしゃいます。
でもその意味がもうお分かりですね。
できるだけ早く授乳する大切な意味が、もうひとつありまして。
母乳分泌が本格的になるまで、出るのは初乳といって、ほんの1~2滴から1日数ミリリットル程度の、黄色味を帯びた(半透明の方もいます)ねっとりとしたもの。
初乳は、栄養と免疫たっぷりの母乳の中でも最強の母乳です。くわえさせる意味はありありですので迷わずくわえさせてください。
私が勤めていた病院もそうでしたが、出産時には安全のためにいろいろやることもルールもいっぱいで、早い時期の初回授乳がかなわない施設も多いと思います。可能な限りで大丈夫です。
もし、自分も元気。赤ちゃんも元気そうだけど特に理由なくお母さんと離れたところにいる、、、
という状況でこの話を思い出したら、助産師に「授乳したい」とお願いしてみてください。
二つ目
1日8回以上おっぱいをくわえさせる。
1日最低8回ですと、3時間に1回となります。
8回と書きましたが、実は決まりはありません。時間を決めず、泣いたらくわえさせ、乳首への刺激を繰り返す。多ければ多いほど良いです。
「3時間毎」という言葉が独り歩きし、勘違いされている方が非常に多い印象があるのですが、「3時間たってないから授乳しない」「泣いてるけど3時間たつまでがまんさせる」という意味ではありません。
現実的には、赤ちゃんが欲したら(泣いたら)授乳していいのです。
生後数日は、初乳なので分泌量は少ないです。(どれくらいのんだか見えないですしね)
赤ちゃんが生きていくために必要なカロリーや水分量を下回ると、生理的範囲を超えた体重減少、便尿が出ない、少ない、活気がないなど症状が出てきます。
また、泣き止まず授乳エンドレスであれば躊躇なくミルクを足してください。
ミルクをあげると母乳が出なくなる?
ミルクを足すと母乳を飲まなるというのは、「足し方」「足す量」の問題です。
寝すぎちゃって1日8回以上おっぱいをくわえさせることを妨げてしまう。これがなければ大丈夫です。
なので、入院中は1回量少なく、こまめに足すのがコツかもしれません。
昼間8回、夜は0回でもあり?
うーん。悩ましいところですが、母乳を増やしたい人にとってはなしです。
授乳間隔があくと、おっぱいが張りすぎて乳腺炎のリスクもあります。
生後1~2週間くらいは、母乳分泌ホルモンを維持するために、2~3時間に一度、母乳製造のオーダーを出すこと⇒乳首の刺激スイッチをいれる必要があります。(この時期は終わりが来るのでご安心を!)
そのため毎日昼間に8回授乳し、夜は預けてまとめて寝るというのは効果が半減します。
それでも母乳だけで育てた人が過去にいらっしゃいましたが、とても稀です。
母乳を出すためには
1.出産後できるだけ早く授乳する。
2.1日8回以上授乳する。
この二つです。
早期産や、治療のため赤ちゃんが入院している方も例外ではありません。
特に早期産の赤ちゃんには、免疫だけでなく、その週数に応じた栄養バランスの母乳がでると言われています。
赤ちゃんがくわえることをイメージして、ご自身の手で乳首への刺激し、少しでも初乳を届けましょう。
手での搾乳でも分泌促進に同様の効果があります。痛くなければ搾乳器の併用もいいと思います。
搾乳するとき、赤ちゃんのそばで行う、写真を見ながらやる。これもホルモンの分泌を促進します。
日本は生後5日間入院する施設がほとんどですので、この間は家事はしなくて済みます。
身体を休め回復を待ちつつ、授乳だけに集中する期間にできるといいですね。
退院した後の授乳はどうしたらいいのか、ミルクの足し方は少しずつ変化します。
さすがに2~3時間毎に授乳しなくても母乳分泌は維持できるようになります。
そのために2週間健診や、新生児訪問、地域の助産院があります。
ぜひ私たちを頼っていただきたいと思います。
この二つをしていなかったけど、母乳を頑張りたい。ミルクを減らしたい。という方も、一つ目は戻せませんが、思い立った日から二つ目のたくさん授乳するを実行してみてください。泣くたびに授乳してみてください。
盛りだくさんになってしまいましたが、読んでいただきありがとうごさいました。
次回は、乳首の形態について、それに応じた母乳育児についてお話します。